ガルグ(garug)のブログ

ビジネス書、英会話、プログラミング

【武器としての交渉思考】おすすめの本 ~書評・感想

おすすめの本【武器としての交渉思考】

交渉は、若者が世の中を動かすための必須スキルである、と著者は断言しています。

変化の激しい時代に生きている私たちに必要な「武器としての交渉思考」が詰まっている、おすすめの1冊です。

negotiation

【武器としての交渉思考】おすすめの本 ~書評・感想

武器としての交渉思考 (星海社新書) [ 瀧本 哲史 ]

本書は、著者が京都大学で学生に教えている「交渉の授業」を1冊に凝縮したもの。

交渉とは、単なるビジネススキルではなく、
ときには敵対する相手とも手を組み、共通の目的のために具体的なアクションを起こしていくための思考法が「交渉思考」
であると著者は定義づけています。

そして、
いくら高い能力があっても、いくら自分の力で決断できるようになっても、この交渉思考がないと、何も変えていく力にはならない、と言います。

「交渉思考」は、モノゴトを動かすためには必須となるスキルである、と著者は力説しています。

さらには、
これからAI等のテクノロジーが進化していく中、生き残る仕事は「交渉をともなうもの」だけ、つまり、付加価値を持つものはすべてが「交渉をともなうもの」、と考えていると言います。

早速ですが、
本書の中で、いくつか私が印象深いと感じた内容をご紹介したいと思います。

 交渉の焦点は「相手の利害」

交渉の焦点は「相手の利害」であり、相手側にいかにメリットのある提案ができるかがポイントということです。

そして、交渉における

【よくある誤解】として、

  • 自分の立場を理解してもらう
  • 自分の主張を言ったほうが勝ち
  • 限られたパイを奪い合う

を挙げたうえで、これらに対する

【正しい理解】として、

  • 相手の立場(利害関係)を理解する
  • 相手の主張をたくさん聞いたほうが勝ち
  • パイという前提自体を見直してみる

ことが説明されています。

つまり、

交渉はゼロサムゲームではなく、現実的にはゼロサム的な交渉は成立しないということであり、

大事なのは、自分の立場ではなくて、相手側のメリットを実現してあげることであり、そのうえで自分もメリットが得られるようにすること

であるということです。

このことは、なんとなく経験的にもすっと腹落ちする内容ですね。現実的には非常に交渉能力に長けた人でないとすんなりとはいかないでしょうけども。。。

ただ、常に心しておくべき内容ですね。

特に、
ビジネスにおいては、長期的な関係を前提とすることが多いでしょうからなおさらです。

最強の武器「バトナ」

 「バトナ」とは複数の選択肢を持つということでして、英語の「Best Altenative TO a Negotiated Agreement」の頭文字をとった言葉ですが、

❝相手の提案に合意する以外の選択肢のなかで、いちばん良いもの❝

と本書では定義づけられています。

そして、
❝交渉は、双方のバトナによって決まる❝、と著者は言います。

つまり、

バトナの強弱によって、交渉は自ずと決まっていくのです。

さらに、
交渉においては、自分のバトナをしっかり準備するとともに、それを相手に悟られないようにするとともに、常に

  • 相手のバトナは何なのかを考える
  • そのために、たくさん聞いて、たくさん提案する

ことの重要性を説いています。

著者はずばり、

❝交渉は情報を集める「だけ」の勝負❝

であると断言していますね。

バトナの身近な例では、
会社とサラリーマンとの間において、双方のバトナを比較することでができますね。

ブラック企業において、良いバトナを持たないサラリーマン(解雇されると他に行き場がない。。。)が、交渉(勤務条件)においていいように翻弄されるという事象が、例えとして良くないかもしれませんが、分かりやすいかもしれません。

人生全般において、「より良いバトナ」を持つことが重要であると感じます。

「アンカリング」を使いこなす

❝交渉は最初のアンカリングで決まる❝ と著者は断言しています。

さて、「アンカリング」とは、

船を停泊させる際に、錨(アンカー)を打つことが語源であるとのことですが、交渉用語では、

最初の提示条件によって、相手の認識をコントロールすること

と説明されています。

本書では、いくつかの事例により「アンカリング」の有効性が説明されていまして、❝交渉はどこからスタートするかによって結果がまったく違ってくる❝ ということが容易に理解できる内容となっています。

そして、
アンカリングの条件として

①高い目標

②現実的

③説明が可能

の3要件が示されています。

振り返ってみると、
「アンカリング」された経験って、みなさんたくさんありますよね?ビジネスシーン以外でも。

車を買うときとか、家を買うときとか、家電量販店で値引き交渉するときとか。。。

このような際に、
交渉用語として「アンカリング」という言葉を知っているだけで、「アンカリングされてるのでは?」と自分の状況を客観視することで有利に交渉を進められそうですよね。

ちなみに、
自分が「アンカリングされた」と感じているときの対処法は、「相手の提示条件は一切無視」であると解説されています。

これらのほかにも、
「非合理な人間」とどう向き合うか?について、タイプ別に対処法が開設されているなど、たくさんの「武器」がつまった1冊となっています。

交渉思考で変化に対応しよう

変化の激しい時代に生きていく私たちに必要な交渉思考のためのメソッドが詰まった、この【武器としての交渉思考】は、おすすめの1冊です。

ぜひ手に取って読んでいただきたいです。


武器としての交渉思考 (星海社新書) [ 瀧本 哲史 ]

ちなみに、
本書の著者である瀧本哲史氏は、残念ながら、若くして病により故人となっていますが、最近では、NHKクローズアップ現代で特集されたり、彼の伝説の東大講義が書籍化されるなどもしていますね。

著者は自分自身の職業を「軍事顧問」と位置付けています。

つまり、これからの日本を支えていく若い世代に「武器」を配ることが自分の使命であるということです

本書のほかに、「ディベート」を題材とした「武器としての決断思考」などを執筆していますので、下記の記事もよろしければ覗いてみていただければ幸いです。
garug.hatenablog.com

 

Copyright ©ガルグ(garug)のブログ All rights reserved.

プライバシーポリシー等