【予想どおりに不合理】おすすめの本 ~書評・感想
行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
行動経済学ブームに火をつけたベストセラーであるこの「予想どおりに不合理」を読めば、「不合理」な人間の行動を予想することができ、次なる大ヒット商品を生み出せるかもしれません?!
行動経済学とは
行動経済学は、比較的新しい分野で、心理学と経済学の両方の面を持っていると説明されています。
ふつうの経済学では、人間はみんな合理的であるとされるが、 実際には、人間は合理性を欠いている。
心理学では、重要な実証的な研究による検証に堪えないことが多い。
→ふつうの経済学を修正し、未検証の心理学という状態から抜け出すことが賢明であり、そのための学問領域が行動経済学であると説明されています。
著者 ダン・アリエリー
英語原題は「PREDEICTABLY IRRATIONAL」
副題は「The hidden forces that shape our decision」となっています。
著者のダン・アリエリーは、行動経済学研究の第一人者で、MIT(マサチューセッツ工科大学)経営大学院などで教授をしているとともに、ユニークな実験研究により、イグ・ノーベル賞を受賞しているほか、本作以外にも行動経済学に関する著書多数であると紹介されています。
TEDでもダンのプレゼン動画をたくさん見れますね。本書の内容についての動画もあります。
人間は不合理だが、予想可能
この本は、
・人間の不合理性、つまり、人間がどれほど完璧とはほど遠いのかについて書かれています。
また、
・ただ単に不合理なだけでなく、「予想どおりに不合理」 つまり、その不合理さは、同じように起こり、何度も繰り返されるため、予想できる。
→どのような「不合理」が繰り返されているのかを知れば、よりよい決断をしたり、生活を改善したりするための出発点にできるということですね。
実験に基づいた事例からなる15章
15章からなる本作ですが、実験に基づいた事例紹介により、人間の行動原理が示されています。
これらの実験で明らかになった原理が、自分の人生にどのように関わってくるか、そしてどのようにすればより良い選択を行動することができるかを考えることができると説明されています。
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相対性の真理
あらゆるものは「相対的」(持てば持つほど欲しくなる) -
需要と供給の誤謬
あらゆるものの値段は定まっていない(囮によるアンカリングで操作可能) -
ゼロコストのコスト
何も払わないのに払い過ぎになる(人は無料に釣られる) -
社会規範のコスト
「報酬」をもらったとたんに楽しくなくなる(社会規範と市場規範) -
無料のクッキーの力
「無料」は私たちの利己心に歯止めをかける(無料は社会規範、有料になると市場規範が働く) -
性的興奮の影響
情熱は思っている以上に熱い(大事な判断は冷静な時にすべき) -
先延ばしの問題と自制心
自分のしたいことなのに、先延ばしとの闘いに敗れる(ダイエットなど) -
高価な所有意識
自分の持っている物には過大に評価してしまう(家の売却時など) -
扉をあけておく
選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまう(多くの扉を開け続けると多くの時間を無駄にする) -
予測の効果
心は予測した通りのものを手に入れる(雰囲気が高級なレストランなら味も高級) -
価格の力
高い薬は良く効く(プラセボ効果) -
私たちの品性1
私たちは不正直(機会が与えられれば人は不正直になることを、多くの人は知らない) -
私たちの品性2
現金を扱う時の方が正直(不正行為は現金から一歩離れたところで行わる) -
無料のランチ
多くの人が予想通りに不合理な決断をする場面への回避策は「無料のランチ」となる
以上が、15の原理をかいつまんだ内容になっています。
人は不合理(相対的に判断してしまう、囮にアンカリングされる、無料に弱い、情熱で理性を失う、先延ばしの天才、所有物への過大評価、選択の不自由、プラセボ効果、共有地の悲劇、意外に不正直)
⇒無料のランチ(人の不合理さを回避する事前の改善策)が必要
ということですね。
ですが、
これだけ読んでも内容が分からないでしょうし、本書の醍醐味はそれぞれの原理について、実証的な実験がなされている点であり、人間の不合理さが実験から赤裸々に描写されていくあたりが非常に興味深く読めるポイントだと思いますので、詳細はぜひ本書で確認いただきたいと思います。
特に、「社会規範と市場規範」のくだりは、なかなかに読み応えのある内容となっています。
また、AmazonのAudibleでも取扱があるようですので、私も次は聴く読書にて本書の内容をより深く理解しようと思っています。
「予想どおりに不合理」はすべての方におすすめの1冊
これを読めば、「不合理」な人間の行動を予想することができ、次なる大ヒット商品を生み出せるかもしれない?!と本書は紹介されています。
少なくとも、どのような「不合理」が繰りかえされているのかを知れば、よりよい決断をしたり、生活を改善したりするための出発点にできるかもしれません。
行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」を示し、 行動経済学ブームに火をつけたベストセラーである「予想どおりに不合理」は、すべての方におすすめの1冊です。